恵方巻きや年越しそばなど、私たちが小さい頃から慣れ親しんできた「行事食」。
これから大きくなるこどもたちにも、ぜひ食育として取り入れていきたいですよね。
今回は行事食の意味や、各行事の行事食などについて解説していきます。
古くから日本人に親しまれている行事食
行事食とは、毎年めぐってくる行事、あるいはお祝いの日に食べる特別な料理を指します。
元々は年中行事を「神様を呼んで食事を捧げる日(ハレの日)」として、日常(ケの日)との区別をつけるために特別な料理を食べていたのが始まりです。
どの行事食も家族の健康や幸せ、こどもの健やかな成長などを願う意味が込められていますが、食べる料理やなぜそれを食べるようになったかという理由については行事によってさまざまです。
主な年間行事と行事食
主な年間行事と行事食は以下の通りです。
月 | 主な行事 | 行事食 |
1月 | 正月(1~7日) | おせち・雑煮など |
人日の節句(7日) | 七草粥 | |
鏡開き(11日) | おしるこ | |
小正月(15日) | 小豆粥 | |
2月 | 節分(3日頃) | 恵方巻き・福豆 |
事八日(8日) | お事汁(六質汁) | |
初午(2月最初の午の日) | いなり寿司 | |
3月 | 桃の節句(3日) | ちらし寿司・はまぐりのお吸い物・菱餅 など |
お彼岸・春分(20日頃) | ぼた餅 | |
4月 | 花祭り(8日) | 甘茶 |
花見 | 花見団子 | |
5月 | 八十八夜(1日または2日) | 新茶 |
端午の節句 | 柏餅・ちまき | |
6月 | 夏至 | タコ(関西地方) |
7月 | 七夕(7日) | そうめん |
土用の丑の日(25日頃) | うなぎの蒲焼 | |
8月 | お盆(15日頃) | 精進料理・白玉団子・型菓子など |
9月 | 十五夜 | 月見団子・里芋・栗ごはんなど |
お彼岸・秋分(23日頃) | おはぎ・ぼたもち | |
10月 | 十三夜 | 月見団子・里芋・栗ごはんなど |
11月 | 七五三 | 千歳飴 |
12月 | 冬至(22日頃) | かぼちゃ |
大晦日(31日) | 年越しそば |
※地域によって食べ物が異なる場合があります
多くの行事食には、旬の食材が取り入れられています。
このことからもわかる通り、行事食は普段と違う料理を食べるだけでなく、季節感を味わえることも楽しみの1つとされてきました。
現代は旬を迎えずとも食べたい食材が気軽に手に入る時代ですが、こどもへの食育に取り組んでいくなら、ぜひこうした行事食を通じて旬の食材を取り入れていきたいですね!
▼簡単にできる月見団子のレシピはコチラ↓
-
十五夜の月見団子を白玉で!親子で楽しめる基本&アレンジレシピ
まいまい毎年、なにを作ろうか…と悩むお月見のイベント。 楽しい十五夜を過ごすために、子供と一緒に作れる白玉粉を使ったお団子レシピをご紹介します 市販の白玉粉を使用し、3歳6ヶ月の長男と一緒に作りました ...
続きを見る
正月の行事食にはどんな意味がある?
正月に家族みんなで食べるおせちや雑煮は、行事食の大定番。
おせちにも雑煮にもさまざまな食材が入っていますが、みなさんはそれぞれの食材にどんな意味が込められているのかご存知でしょうか。
おせち
おせちの具材は地域によって異なりますが、どの食材もきちんと意味が込められています。
おせちを構成する主な具材と、その意味について見ていきましょう。
具材 | 意味・由来 |
黒豆 | 「まめに暮らす」という語呂合わせから、体が丈夫であることを意味する |
数の子 | たくさん卵がある=子孫繁栄を意味する |
ごまめ | ごまめ(五万米)という言葉から、五穀豊穣を願う意味を持つ |
紅白かまぼこ | 紅は魔除け、白は清浄の意味を持つ |
伊達巻き | 巻物に見立て、学問成就を願う意味を持つ |
栗きんとん | 黄金色の見た目から、金運上昇や商売繁盛を願う意味を持つ |
海老 | 腰が曲がるまで長く生きられるようにといった願いが込められている |
れんこん | 複数の穴から向こう側が見える=将来の見通しが良いという意味を持つ |
たけのこ | 天に向かってすくすく伸びる=健やかに育つ、出世を願う意味を持つ |
紅白なます | 紅白の水引をイメージしており、縁起が良いとされている |
こどもが好む食材ばかりではないかもしれませんが、意味を教えてあげることで、食に興味を持つきっかけを作ってあげられます。
▼おせち料理の意味についてはコチラ↓
-
おせち料理の由来と歴史、一つひとつの意味を知ろう!
お正月といえばおせち料理。 毎年のように作ったり食べたりしていても、おせちの歴史や由来をご存じの方は少ないのではないでしょうか。 またおせち料理には、一つひとつに意味があるのですが、すべて答えられる方 ...
続きを見る
雑煮
雑煮もおせち同様、地域によって具材が異なります。ここでは北海道・京都・香川・福岡の雑煮をご紹介します。
北海道
北海道はもともと雑煮文化がなかったため、基本的には各家庭で具材が異なります。
一般的には醤油やだし汁、砂糖で調理された少し甘めの味付けで、なるとの代わりに「つと」と呼ばれる練り物が入っていることが多いようです。
京都
京都の雑煮は“家族円満”を意味する丸餅、“子孫繁栄”や“出世”を意味する頭芋などが入った白味噌仕立ての雑煮を食べます。
また家庭によっては京野菜の1つである金時人参を入れることも。金時人参の赤い色には魔除けの意味が込められています。
香川
香川の一部地域では「あんもち雑煮」と呼ばれる、餡入りの餅を雑煮に入れて食べるのが一般的です。
砂糖がまだ高級品だった江戸時代、せめて正月だけは甘いものを食べたいと、庶民が藩にバレないように砂糖たっぷりの餡を餅でくるみ、白味噌仕立ての雑煮に入れたのがはじまりとされています。
福岡
福岡の雑煮は「博多雑煮」が有名です。具材は各家庭で異なりますが、あごだし・ブリ・かつお菜の3つは博多雑煮に欠かせません。
とくにかつお菜は漢字で「勝男菜」と書くことから縁起が良いとされており、正月料理には外せない食材の1つとなっています。
こどもが雑煮を食べられるようになったら、慣れ親しんだ地元の雑煮だけでなく、他の地域の雑煮も親子で味わってみるのがおすすめ。
さまざまな食材を味わうことで、こどもの味覚の幅を広げることができますよ。
▼おせち料理の地域による違いについてはコチラ↓
-
おせち料理は地域で違う!具材や特徴を分かりやすくご紹介!
※この記事はアフィリエイト広告を利用しています お正月にお友だちの家に行ったら、いつも家庭で食べているおせち料理とは違うものが!なんて経験はありませんか? 関東と関西はもちろん、実は地域によっておせち ...
続きを見る
桃の節句や端午の節句の行事食
桃の節句や端午の節句に食べる行事食は、こどもの食育にぴったり。お子様の健やかな成長を願いつつ、ぜひ行事食も食卓に取り入れてみてくださいね。
桃の節句の行事食
桃の節句で食べられる主な行事食は以下の通りです。
ちらし寿司
明確なルーツはありませんが、一説によると平安時代に食べられていた「なれ寿司」が江戸時代に「ばら寿司」に変わり、次第に現在のようなちらし寿司に変化していったとされています。
おせちと同様に、海老・れんこん・豆といった縁起の良い食材が入れられます。
はまぐりのお吸い物
他の貝と違い、対になっている貝以外とは形が合わずに隙間ができてしまうはまぐりの特徴から、相性の良い結婚相手と末永く暮らせるようにといった意味が込められています。
菱餅
春の訪れを表現した3色に分かれており、下から緑(新緑)・白(雪)・桃色(桃の花)の組み合わせになっているのが一般的です。。
加えて、緑色は健康や強い生命力、白色は清浄、桃色は魔除けの意味を持ち、こどもの健やかな成長を願う気持ちも込められています。
ひなあられ
鮮やかな色合いが可愛らしいひなあられは、菱餅と同じく、こどもの健やかな成長を願う気持ちが込められた行事食です。
関東ではもち米で作られた甘いひなあられ、関西はおかきのようなしょっぱいひなあられが主流です。
端午の節句の行事食
端午の節句で食べられる主な行事食は以下の通りです。
柏餅
古い葉が新芽が出るまで落ちない柏の木の特徴から、子孫繫栄の意味が込められています。
普通の餅より食べやすいですが、こどもに食べさせる際は丸飲みしないよう、しっかり声をかけながら食べさせてくださいね。
ちまき
中国から伝わった行事食で、邪気を払うとされています。地域によって作り方が異なり、関東地方のちまきは端午の節句以外でも食べられます。
一方、関西地方は端午の節句では柏餅よりもちまきを食べるのが一般的です。九州地方の一部では、灰汁で煮込んだ「灰汁巻き」がちまきと呼ばれており、端午の節句によく食べられます。
実は同じ?ぼたもちとおはぎの違い
春のお彼岸に食べるぼたもちと、秋のお彼岸に食べるおはぎ。こどもに「これって何が違うの?」と聞かれた時、みなさんはきちんとその違いを答えられますか。
ぼたもちとおはぎの違いについてはお米が違う、あんこのが違うなどさまざまな説がありますが、実は季節が違うというだけで、見た目や中身はどちらも同じとされています。
春は牡丹の花が咲く季節、秋は萩の花が咲くことから、それぞれの名で呼ばれているようです。
まとめ
行事食は旬の食材だけでなく、日本の文化や地域性についても学ぶことができ、食育にぴったりです。
小さいうちから慣れ親しんでおくことで食への興味を高めることができますし、何より家族の思い出にもなります。
正月に食べるおせち料理や雑煮、桃の節句・端午の節句などの行事食を取り入れながら、ぜひ親子で1年間の行事を楽しんでくださいね。